【転勤妻必見!知らないと損する】失業保険と国保軽減の手続き方法

地方移住を考える時、心配なことのひとつが仕事のことではないでしょうか。
移住や夫の転勤などをきっかけに仕事を辞めざるを得ない人も多いですよね。
ただでさえ新しい土地での暮らしに不安があるのに、初めての場所で仕事が見つかるのか、それまで生活をしていけるのか…など不安に思う方もいらっしゃると思います。

そんな方に是非知っておいていただきたいのが、特定理由離職者の制度です。

配偶者の転勤など特別な理由がある場合「特定理由離職者」として認定され、失業保険の給付制限が無くなったり、国民健康保険料が軽減できたりする場合があります。

メートン

私も特定理由離職者として認定され、金銭面の不安なく福岡での新生活を満喫することができました!

私たち夫婦も福岡移住をするにあたり、夫は転勤することで元の仕事を続けることができましたが、私(妻)は続けることが難しく退職をしました。正社員で働いていたため、福岡移住で生活コストは大幅に下がるとはいえ、自分で自由に使えるお金が減ってしまうのはないかという不安もありました。

そんな時に知ったのがこの制度です。
あまり情報がなく知らない方も多いと思うので、今回は制度や申請方法についてご紹介します。

目次

失業保険の離職者区分

まずは失業保険と離職者の区分についてご紹介します。

失業保険は正式には雇用保険と言い、加入者が失業や退職した場合、基本手当を受給することができます。
その中でもその方の退職理由によって3つに区分され、補償の手厚さが変わります。

  1. 自己都合の離職者:「一般受給資格者」
  2. 会社の倒産や解雇等の会社都合での離職者:「特定受給資格者」
  3. 雇い止め(区分Ⅰ)や正当な理由(区分Ⅱ)による離職者:「特定理由離職者」

※この記事では分かりやすくするため、「一般受給資格者」と正当な理由による離職者「特定理由離職者(区分Ⅱ)」に絞って解説します。

一般受給資格者の失業手当

特定理由離職者について解説する前に、一般受給資格者の手当についてご紹介します。
(すでにご存知の方は読み飛ばしてください。)

基本手当日額

基本手当日額(失業1日あたりの給付金額)は下記の式で計算されます。

・賃金日額 = 離職前6ヶ月間に支払われた給与(賞与は除く)の合計額 ÷ 180日
・基本手当日額=賃金日額×給付率
※給付率は50%〜80%(上限あり)で年齢や賃金日額によって変わります。賃金日額が少ないほど給付率が高くなり、多いほど減ります。

こちらのサイトで自動計算ができます
Ke!san:雇用保険の給付額(失業給付金)の計算

給付日数

給付日数は年齢と雇用保険の被保険者であった期間によって変わります。
自己都合の場合は全年齢共通で、被保険者期間で給付日数が決定します。

スクロールできます
被保険者であった期間1年未満1年以上〜5年未満5年以上〜10年未満10年以上〜20年未満20年以上
全年齢90日90日120日150日

給付制限

通常、自己都合で退職した場合は「給付制限」があり、2ヶ月間基本手当を受給できない期間があります

※自己都合/会社都合に関わらず、離職票を提出した日(受給資格決定日)から通算して7日間は「待期期間」となり、その期間は基本手当の受給ができません。待機期間が終了した翌日から給付制限期間に入ります。

受給資格

自己都合で退職した場合、受給資格は、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります
つまり1年以上会社に勤めていないと支給の対象になりません。

【失業保険の給付制限なし・国保も軽減】特定理由離職者とは?

配偶者の転勤や転職等でやむを得ず仕事を辞めなければいけない場合でも、退職理由は「自己都合」となってしまいます。給付制限がある場合は3ヶ月間近く収入がなくなるため、引っ越し等で出費がかさむ中、家計が厳しくなる場合もあると思います。また慣れない地で仕事を見つけることは簡単ではなく、すぐに再就職といかないのも現実です。

そこで知っておいていただきたいのが、配偶者の転勤や転職等による離職は「特定理由離職者」の認定対象ということです。

特定理由離職者のメリット

特定理由離職者に認定されると下記のメリットがあります。

  1. 2ヶ月間の給付制限が免除され、7日間の待機期間を経たらすぐに給付が開始される
  2. 離職日以前の1年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間があれば給付の対象となる
    (入社後1年未満の退職でももらえる可能性がある)
  3. 国民健康保険料が軽減される(※別途役所で申請する必要あり)

※「基本手当日額」と「給付日数」は一般受給資格者と同様です。
(一部の特定理由離職者(区部Ⅰなど)の場合には給付日数が拡大するようですが、私には当てはまりませんでした。)

メートン

実際に特定理由離職者に認定されて本当に助かりました!

私はこの特定理由離職者に認定された為、離職票を持って初めてハローワークに行き7日間の待機期間満了後、すぐに支給対象期間に入りました。そして約1ヶ月後には失業手当が振り込まれました

さらに嬉しいのが国民保険料が軽減されることです。離職後は収入がない中で、住民税や年金など税金負担が重くのしかかります。特定理由離職者は国民健康保険料の軽減手続きができるので、これだけでもだいぶ負担が軽くなります。
※こちらについては後ほど詳しく解説します。

おかげで最終給与の受け取りからほとんどブランクなく失業手当をいただくことができ、国保の負担も軽くなったので、金銭面の不安なく暮らすことができました。

その他、公共職業訓練を受給する際に支給残日数が少なくても受講できるというメリットもあります。
こちらはまた改めて職業訓練校について記事を書こうと思っているので、その時にご紹介します。

特定理由離職者の条件

では、特定理由離職者の条件にはどのようなものがあるのでしょうか。

ハローワークによると、「心身の障害」、「妊娠・出産・育児」、「親族の看護」、「結婚や配偶者の転勤・転職」などによる退職が「正当な理由のある自己都合により離職した者」として扱われ、一定の条件をクリアすると特定理由離職者として認定してもらえるようです。

詳細は下記をご確認ください。

以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※補足2)

(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者

(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者

(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(a) 結婚に伴う住所の変更
(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(c) 事業所の通勤困難な地への移転
(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

※補足1 労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します。

※補足2 給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。

引用元:ハローワークインターネットサービス

夫の転勤や転職による退職の扱い

さらに夫(配偶者)の転勤や転職による退職に絞ってみていきます。
配偶者の転勤や転職による退職は(5)-(g)にあたります。

では「通勤不可能又は困難」とはどのような状況なのでしょうか。

(5)通勤不可能又は困難の基準とは?

「通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等」(厚労省リーフレット)
つまり片道約2時間以上かかる場合はOKです。

私の場合は東京から福岡に引っ越したので、もちろんこの基準をクリアできました。
近郊でも片道2時間を超える場合は対象になる可能性があるので、確認すると良いと思います。

特定理由離職者の申請方法

メートン

実際に私が特定理由離職者として認められた時、どのように申請をしたのかご紹介します。

福岡へ引っ越してすぐに管轄のハローワークへ申請にいきました。
通常の手続きに必要なものに加え次にご紹介する物を持参し、「夫の転勤による退職」であることと「特定理由離職者」に認定して欲しい旨を伝えました。
※何も言わないと認定されない可能性もあるので、念押しして確認するのがおすすめです!

しっかりと準備をしていったので申請はスムーズに終わり、この条件であれば問題なく特定理由離職者に認定されるだろうと言われ、その日は帰宅しました。

認定はその場でされる訳ではなく、「雇用保険受給資格者証」が発行されるタイミングで決定します。
「雇用保険受給資格者証」に記載されている「離職理由」の欄が“33”(または“34”)になっていれば、特定理由離職者として認められたことになります。

スクロールできます
コード 離職理由 
 33 正当な理由のある自己都合退職
 34 正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間12ヶ月未満)

申請時の持参物

ハローワークへの申請時に持っていったものは下記の通りです。

通常の手続きに必要なもの

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票
  • マイナンバーカード (持っていない方はマイナンバー確認書類と身分証明書)
  • 印鑑(認印でOK /スタンプ印不可)
  • 顔写真(タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)×2枚
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

特定理由離職者認定のために持参したもの

  • 住民票(世帯の続柄の記載があるもの)
  • 夫の転勤辞令(配偶者の転勤によって退職をしたことを証明するための書類)

住民票や辞令は必ずしも初日に持っていく必要はないようですが、スムーズな申請のためにも初回に揃えていくと良いと思います。

申請の流れ

ハローワークでの失業申請〜手当受給まで簡単に流れをご紹介します。

メートン

私の場合は初めての失業手当受給まで1ヶ月ちょっとでした。

STEP
ハローワークへの失業の申請

必要なものを持参し、失業と特定理由離職者の申請を行う。

STEP
7日間の待期期間
STEP
雇用保険受給説明会

指定された日時に開催。雇用保険制度について説明を受け、雇用保険受給資格者証を受け取る。

STEP
失業認定

指定された認定日にハローワークに行き、「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し、「雇用保険受給資格者証」とともに提出。

STEP
失業手当を受給

認定日の数日後に、待機期間終了後〜認定日前日までの手当が振り込まれる。
(その後も受給終了まで認定日〜受給を繰り返します。)

国民保険料の軽減制度

次に特定理由離職者の国民保険料の軽減制度ついてご紹介します。

制度の内容

特定理由離職者として失業等給付を受ける人(非自発的失業者)は、前年の給与所得をその30/100とみなして保険料が算定されます。また同様に高額療養費負担限度額も減額された所得で計算されます。

一般受給資格者と特定理由離職者でどのくらい保険料が変わるのか、
年収300万円を例に福岡市の保険料を自動計算シートで計算してみました。

【条件】年齢区分:15歳〜39歳/給与収入:300万円/年金収入・その他所得:0円

一般受給資格者
特定理由離職者
  • 年間:232,300円
  • 1ヶ月あたり:19,358円
  • 年間:48,900円
  • 1ヶ月あたり:4,075円

なんと、年間183,400円、1ヶ月あたり15,283円も安くなりました!これは非常に大きい差ですね!

自分の保険料を計算してみたい方は、福岡市が「年間保険料の計算シート」を出しているので試してみてください。(ページ中央あたりにエクセルシートがあります。)
福岡市 年間保険料の計算方法

手続き方法

手続きはハローワークではなく、住民票がある地域の役所で行います。
下記の物を持参し、届出を提出してください。

持参物

  1. 国民健康保険証
  2. 雇用保険受給者証(離職理由が“33”or“34”と記載されているもの)

自分で手続きをしないと軽減されないので、忘れずに申請を行ってください。

最後に

特定理由離職者は「失業保険の給付制限の免除」「国民保険料の軽減」など、転勤妻や移住者にとって、とてもありがたい制度です。
知っているだけで移住を検討する際にネックの一つになることが多い金銭面の不安も軽減すると思います。
※役所が勝手に認定してくれることはないので、忘れずに申請を行ってください!

メートン

最後に私が受給期間に何をして過ごしたかご紹介します。

私はこの制度を利用し、福岡移住後の失業保険が受給される3ヶ月間、引っ越し後の部屋作りや新しい土地の開拓など、新生活を思いっきり満喫しました。
さらに以前から興味のあったものの、仕事をしながらではなかなか進まなかったWEB制作の勉強を独学で始めました。そして失業保険の受給期間が終了する直前に職業訓練校に通い始め、WEBデザイン・コーディングを学びながら、失業保険を延長して受給しました。
結果、約9ヶ月間もの間失業保険を受給し、WEB制作のスキルも身につけ、給付終了後から制作会社で働かせていただくことができました。このキャリアチェンジに思い切って挑戦できたのも、この制度のおかげだと思っています。

有効に使うと新生活の大きな支えになると思いますので、ぜひ賢く活用してください!

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この記事を書いた人

福岡移住をきっかけに退職し、営業職からWEBエンジニアに転身。未経験から独学&職業訓練校で勉強しました。現在はWEB制作会社で勤務しています。
食べることが大好き!うまいもん天国の福岡で日々美味しいお店を探しています。

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